田中似の水道工事屋

12月に引っ越してきて早半年過ぎ。

以来悩まされて続けた、風呂場の下水臭に終止符を打つべく管理会社へ問い合わせた。

そこのお粗末な対応に「どうせ直してくれないんでしょ?」と半ば諦めていた所、

突然水道工事業者が家にやってきた。

聞くところによると、管理会社からの依頼で調査・修理にきてくれたらしい。

なにも聞いてないぞ。と思いながらも見てもらう事に。

こういった、他人を家に呼ぶ時、私はどこで何をしていたら良いのか毎度ながら考えてしまう。

別の部屋で過ごすのも、どうにも失礼な気がするし、

かといって作業している側にじっと居座るのも監視しているようで気分が悪い。

さてどうしたものか。

私の出した結論は、作業している同じ部屋で少し距離を取って私自身が別の作業をする事だった。

これなら、業者の呼びかけにも素早く対応出来るし、私は別の作業をしているので監視していませんアピールにもなる。

やや下水臭の漂う部屋で、脚立をイス代わりにしてパソコン画面に集中した。

原因は封水トラップの腐食だとすぐに判明したのだが、そこからの作業が難航している。

どうやら、作業員の方はあまり経験がないらしく、

マニュアルを見ながらああでもないこうでもないと独り言を呟いていた。

心の中で「私は気にしていないから、自分のペースでがんばれ」とエールを送っていたのだが、

やがてどうしようもなくなったらしく、外で上司に電話相談していた。

と、いうのも電話の声が丸聞こえだったからだ。

私はなんでもいい。ただ直してくれるのであればいいのだ。

そして、作業員の方が来てから1時間半ほど経過すると、ついに作業が完了した。

私は心からアンガールズ田中さん似の作業員にお礼を伝えた。

今日は風呂場が使えないらしい。

引っ越してからずっと気になっていた銭湯にでも足を運んでみようと思う。