ハウスダスト

飲んだ後に1時間かけて家に帰るのは無理なので、友人O宅へ泊まらせてもらうことにした。

いつもは駒場寮が如く部屋で非常に快適な空間なのだが、彼女が出来たからか、多少綺麗になっていた。

蒙古タンメンブラックなるカップ麺をユーチューバーのように食し、腹に鈍痛を感じながら眠りについた深夜2時。

体の妙な痒みで目が覚める。

元々乾燥肌であるため、いつもの様にポリポリと掻いていたのだが、まったく治らない。

しかし、ステロイドも無ければ駒場寮には氷も水もない。

ひたすらに耐えていたのだが、今度は目が痛くなりだした。

耐えきれず、トイレで顔を見てみると、右目の眼球がただれたようになっている。

しかも真っ赤で、まるで赫眼だ。(東京グールというヤングジャンプにて連載していた漫画に出てくる化け物の目のこと。真っ赤である。)

この部屋に居てはいけない。

僕の本能がそう告げるのを聞き、慌てて家を飛び出した。

幸いにも、既に始発は動いていたし、僕のメガネは色が入っているので、周りを不快な気分にもさせなかったはずだ。

電車の中で症状を調べてみると、ハウスダストが原因でアレルギー反応が出て、目が腫れたり、体が痒くなる結膜浮腫というものだった。

時間が経てば引くようなので、今日は一日ゆっくりしていた。

とんだ災難だった。

あの家で平然と暮らしている彼と、そうならない為になるべく綺麗な部屋であろうとする僕と、どちらが幸せなのだろうと考えたが、人の幸せは他人には測れなかった。

言えることは、あの部屋でセックスする彼女が気の毒だということだけだった。