歩くこと

歩くことが好きだ。

歩く時は出来るだけ身軽でいたい。

街の喧騒とか風が肌を攫う感覚とか、そういうものを感じながら考えない事を考える。

イデアを浮かべるために歩くこともある。

体を動かすと自然と頭も働いて、別の切り口から物事を考えるようになる。

勤め人だった頃、疲れた心を引きずったまま家に帰るのがなんとなくいやで、

わざわざ遠回りしたり、別の道を通ったりしていた。

長く住んでいる街でも、そうするだけで全然違う姿を見る事ができる。

わかっているつもりで、まだまだ知らない場所ばかりだなと実感する。

寄り道は悪い事じゃない。一通り心が落ち着いたあと、家に帰るのだ。

無職になったいま、色々塞ぎ込んでしまったり、うだうだと答えの出ない事をひたすらに考えて、心が荒んでしまった。

ひさしぶりに、ゆっくり歩く事をするだけで、だいぶすっきりとした。

 

最近、カメラがほしいと思い、いろいろと調べ物をしている。

音楽も聞かず、独り言を呟きながらただひたすら歩く事が好きだ。

しかし、相棒として、カメラを持つのもいいのかなと思い始めた。

豊かな心で歩いた時の、淡い光に包まれた景色を写真におさめるのも悪くないと思う。