オーバークック

専門時代の友人T岡が、同じく専門時代の同級生と結婚したので、同じく専門時代のクラスメートと新居へ遊びに行った。

前日、寝たのが4時で集合時間が12時だったため、遅刻は当然である。

途中、マックを発見したので、手土産にポテトを買っていこうとしたがとても混んでいたのでやめた。

迷子になりながら、13時に到着した。

築年数はそこそこと見て取れるアパートの2階だ。

ノックしようとすると、気配を感じたのかドアを開けて出迎えてくれた。

ぼくが到着したころ、まだ準備中のようだった。

やれやれ。手伝ってやるかと腕まくりしたが、「今日はくつろいでて」と言われたので、大人しくNetflix月刊少女野崎くんをみていた。

そしてついに準備が整った。

人生初のタコパ(たこ焼きを焼いて食べるパーティ。高3や大学生が好んでおこなう行事。危険を伴う。)である。

あつあつの鉄板に生地を流し込むと、ぼくはタコを入れていく。久しぶりの労働で気持ちが良い。

そして千切りされたキャベツと切れていない紅生姜をふりかけていった。

そこには、僕の知るたこ焼きはなかった。

どうやらタコパでは、キャベツは千切りらしく、紅生姜も大量だ。天かすも入れた気がするぞ。

ぼくは、「細かく刻んで、生地に混ぜた方がいいのでは?」と提案した。

すると、T岡の奥さんも同意見だったようで、T岡を攻めだした。

夫婦の空気を悪くしてしまい申し訳無い気持ちになっていると、クラスメートが場を和ませてくれた。いいやつだ。

なんだかんだたこ焼きはうまかった。腹が痛くなったのは空きっ腹にお茶を流し込んだためであろう。

そのあとは、お菓子を食べながらニンテンドーSwitchのオーバークックという神ゲーをしたり、たわいも無い話で盛り上がった。

いつのまにか、2人は仲よさそうにお互いの文句を言いながら寄り添い会っていた。

その光景はとても暖かく穏やかだった。

学生時代は毎日学校で会っていたから、休みの日に遊びに集まることなんて滅多に無かった。

1つ1つの会話も右の耳から聞いて左の耳から出ていっていた。

そのため、今日は楽しめるか少し不安があった。

しかし、いまこれを書いているぼくの心はとても満たされている。

こんなに楽しい時間を過ごしたのはいつぶりだろう。

卒業してからは、ほとんど会うことはなかった。

その年月が、僕らの絆をより深めたのだ。

お互いに年齢を重ね、多少は心ってやつも成長した。

それでも、今日の僕らは6年前の僕らだった。

きっとこの先も、僕らが集う時はあの頃の僕らなのだろうと思った。

今を残しておきたくて、皆の顔をこっそりとカメラに収めた。

あっという間の10時間だった。